こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
2022年6月より航空法が一部改正されて「ドローン登録制度」がスタートします。
その対象となるのは「100g以上のドローン」なので注意が必要です。
「100g以上のドローンを持っているけど、どうすればいいか分からない」と悩まれる方が多いと思いますので
今回のブログ記事では…
- そもそもなぜドローン登録制度がスタートするのか?
- 100g以上のドローンの対象となるのは?
- ドローン登録制度にかかわる手続きや罰則、そして対策は?
この3点を中心に「100g以上のドローンを所有している方への注意点」について情報シェアします。
2022年6月以降「知らなかった」では済まされないため、知識をアップデートしていきましょう。
このページに書いてあること
ドローン登録制度「100g以上のドローン」はどうすればいい?
最初に結論です。
重量が100g以上であるドローンは、すべて対象になります。DJIドローンも、Amazonで販売しているトイドローンも全てです。
そして重量100g以上のドローンを屋外で飛行する場合には、ドローン登録制度で登録した後、登録番号をドローンに記載しなければなりません。
登録料は数千円かかり、期限は3年、マイナンバーの紐付けも行われます。
未登録のドローンを飛行させた場合には、航空法により罰則もあるため、「屋外で飛行する場合には登録はMUST」になります。
逆に「屋内だけで飛行する場合」にはドローンの登録は不要になります。(完全に屋内のみの飛行です)
そのため100g以上のドローンは…
- 屋内や屋外で飛行させる → 登録必須
- 100%屋内のみで飛行させる → 登録不要
となるため、自分自身がどうドローンと付き合っていくのかを考えて、ドローン登録をするか否かを考える必要があります。
- 「登録するのが面倒くさい。マイナンバーと紐付けしたくない」
- 「屋外で飛行させたいから堂々と登録する」 など
今回のドローン登録制度は、ひとつのターニングポイントになりそうです。
では実際にどのような制度なのかについて、順を追って説明します。
そもそもなぜドローン登録制度がスタートするのか?
「なぜ、こんな迷惑な制度を設けたんだ!ドローン規制だ!」と憤る方がいらっしゃると思うので、まずは簡単に背景からです。
あまり表立っていませんでしたが、ドローンによる迷惑行為が散見されていました。
国土交通省では…
- ドローンによる事故の増加
- 無許可で無人航空機を飛行させる事案が頻発
と、飛行の安全が十分に確保できていない状況が生じていることが課題と認識しています。
さらに、空港周辺における無人航空機の飛行とみられる事案により滑走路が閉鎖される事件が幾度も発生しており、ドローンが与える社会的影響が存在していました。
だからこそ、ドローン登録制度によって
- 事故発生時に所有者を把握する
- 事故の原因究明や安全性の確保をする
- 安全性に問題のあるドローンを飛行させない
を目的として、2020年2月末に閣議決定し、2022年6月よりスタートする運びとなっています。
今回の制度化を平たく言えば「ドローン飛行による人物や物件に対する危機を回避して安全を確保する」ですね。
そして暴力的に言うと「ドローンで世間が迷惑しているから、ドローン所有者にもっと法的な責任を持ってもらいますね」です。
世界ではドローン登録制の流れが進んでいる
ドローンはテロにも使用できる側面があることから、登録制度の動きは進んでいます。
例えばアメリカでは、すでに250g以上のドローンは登録制となっています。
さらに飛行追跡の規制案も発表しています。
米連邦航空局(FAA)は26日、米国の領空を飛行するFAA登録の全てのドローンを対象に、飛行位置と識別情報の発信を義務付ける規制案を発表した。次世代の輸送手段としても注目を集めるドローンは、FAAに150万機近くが登録。一方でテロに使われる危険性も指摘され、対策を求める声が出ていた。
飛行する前に、飛行位置と識別番号を発信して、すべてのドローンの飛行追跡ができるようになるわけです。
つまるところ、日本は後手後手な対策だったりします。
100g以上のドローンの対象となるのは?
今までは航空法で「飛行エリアの禁止」「飛行方法の禁止」で規制があったのは重量200g以上でした。
そのため、市販のドローンの中には、199gドローンといったギリギリ規制から外れるドローンも爆誕したのは周知の事実です。
今回のドローン登録制度では重量100g以上にラインが引かれました。
そのため航空法上での「無人航空機は200g→100g以上」に変更され、100g未満が模型航空機となりました。
重量で区切ると…2021年6月から
- 重量99g以下:登録不要、飛行規制なし
- 重量100g以上:登録必要、飛行規制あり
重量100g以上のドローンは登録制度の対象であり、同時に、飛行規制の対象になります。
「どんなドローンが対象になるの?トイドローンは対象外でしょ?」そのように疑問に思うかもしれませんが、重量100gを超えていたらすべてのドローンが対象になります。
たとえAmazonで販売しているトイドローンだとしても100gを超えていたら登録制度の対象となります。
そのため確認すべきは
- メーカースペックから重量を調べる
- デジタルスケールを購入して重量を調べる
の作業は、今からでもおこなっておくのをオススメします。
「この所有しているドローンは100g以上だ。どうするか考えよう」「これから購入予定だから100g未満のを選ぼう」と先々を見据えられますからね。
ドローン登録制度にかかわる手続きや罰則、そして対策は?
もし屋外で100g以上のドローンを飛行させる場合には、2022年6月以降は、事前にドローン登録を行わなければなりません。
「それってどう登録するの?」「未登録だったら?」「なにか対策はないの?」の疑問について、さらっと説明していきますね。
ドローン登録の手続きや費用
2021年12月より事前登録がスタートするのですが、登録にあたっては、
- 所有者の氏名や住所、電話番号などの個人情報を登録する
- 飛行させるドローンの重量や寸法、シリアル番号などを登録する
- 登録完了すると機体認証番号が付与されるのでドローンに直接記載orテプラ等で貼る
といった、クルマのようなナンバー制をイメージすると簡単ですね。
登録は3年間、900円~2400円の費用がかかります。
マイナンバーによる登録をすることで、手続きの簡略化、登録費を900円に抑えることも可能です。
このように所有者を登録することによって制度目的である「ドローン所有者の割り出しから安全性を高める」ことが叶うわけですね。
もちろん、きちんとしたドローンの飛行方法をおこなっている方でしたら心配無用であって、むしろメリットが大きいと考えられます。(紛失時の発見等)
ドローン未登録の場合の罰則は重い
今回のドローン登録制度は、航空法の一部改正によって設けられた法制度です。
もし未登録だったドローンを飛行すると、どうなるでしょうか?
航空法では、まず「登録したものでなければ飛行できない」と記載されています。
第百三十一条の四
無人航空機は、無人航空機登録原簿に登録を受けたものでなければ、これを航空の用 に供してはならない。
そして罰則として
第百五十七条の四
第百三十一条の四の規定に違反して、無人航空機を航空の用に供したときは、その違 反行為をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
となっており、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
ドローン登録制度は、ガチな法律なので気をつけなければなりません。
「ドローンの登録?知ねーよ。おもちゃなんだから、どうでもいいよ!」そんな甘いことを考えていて痛い目をみてしまいます。
ドローン本体に登録記号記載の有無は、誰にでも見つけられますからね。
ドローン登録制度に登録しない対策
すでにドローンを所有している方にとって「どうしよう?」と悩んでしまいますよね。
特に親御さんが「子供用にトイドローンを与えていて、それが100g以上だった」場合です。
これまで書いてきたとおり、100gを超えていたらすべてのドローン(トイドローン含む)を登録しなければなりません。氏名や住所の登録手続き、登録費用、そして引越や破棄、売却により再手続きなど手間も増えます。
「ドローンはちょっと遊ぶだけで楽しむもの」
そんな方にとっては、ドローン登録制度は重たい制度であることは間違いありません。
その対策としては「100%屋内だけで飛行するドローン」とすれば、今回のドローン登録制度に登録しなくても大丈夫です。
例えば「家の部屋の中でドローンを飛行させる」だけです。
航空法は、空域に関わる法律ですので「屋内は対象外」となっています。空と繋がっていない部屋の中だけなら、何も問題有りません。
「屋内で楽しむだけなら大丈夫」と思っていただければ、少しは気が楽になるでしょうか。
100g以上のドローンとどう付き合うのかを考える必要がある
まとめです。
2022年6月からドローン登録制度がスタートします。
ここまで書いてきた通り、
- 100g以上のドローンは屋外で飛行する場合、登録がMUSTになる
- 氏名や住所、電話番号、マイナンバーなどを登録する
- ドローン本体に機体番号を記載or添付する
- 登録期間3年間で数千円の登録費がかかる
とドローンの所有者を明確することで、今まで発生していた事故や事件を防ぎ、ドローン飛行の安全性を高める制度です。
未登録のまま飛行させた場合には罰則があるため、「知らねーよ、無視、無視!」といった対応をすると痛い目をみます。
すでにドローンを所有している方は「どうドローンと付き合っていくのか」を考えるターニングポイントとなりえそうです。
- ドローンを飛行させたいから登録しよう!
- 面倒くさいから部屋の中だけにしよう!
- 100g未満のドローンで楽しもう!
今回のドローン登録制度によって、ドローンに規制が入るのは不本意なことかもしれませんが、制度に則って登録すれば、今まで通りであることは間違い有りません。
「少しの手間がかかるけど、ドローンや社会の安全性のために仕方ないね!」
そう前向きに捉えられるといいですね。
あとがき
わたしはドローンと一緒に過ごしているようなものですので、ドローン登録制度に敏感ですが…
「ドローンを押し入れに入れてる199gドローン」を持っている友人や「120g前後のトイドローン」を持っている知人は、登録制度の存在すら知らないですね、きっと。
周知に徹しないとなあと今から思っています。