こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
ドローンを操縦するにあたって、今現在2020年は国土交通省航空局の許可制度となっています。
正式に言えば「免許」という国家資格のような制度は設けられていません。
しかし、2021年のドローン機体の登録制度が実現した後、さらに2022年にドローン操縦の免許制度を導入する見込みとなっています。
今回のブログ記事では…
- ドローン操縦の免許制度の概要は?
- 免許制度を導入する背景は?
- 2022年より先の未来はどうなるのか?
この3つを中心に「ドローンの免許制度によってドローン産業の促進を促す」ことを説明していきます。
「ドローンの免許」という言葉は誤解されやすいこともあるので、できる限りわかりやすく書いていきますね。
※2021年5月追記:操縦ライセンス化について詳細内容を↓にアップしました。こちらも合わせて御覧ください。
このページに書いてあること
2022年導入予定のドローン免許制度とは?
いきなり結論から行きましょう。
2022年に導入予定のドローン免許制度は「人口集中地区での目視外飛行」に対して免許制度化をおこなうことです。
なぜ免許制度化をするのかというのは…
- 人口集中地区
- 目視外飛行
の組み合わせのみを免許制度にすることで、
- 都心部での荷物配送
- 高層ビルや陸橋などのインフラ点検
- 高齢化が進む地方市街地での巡回警備
などを目的とした、新しいドローン産業の実現を行うための法制度化の1つです。
つまり、もっと簡潔ににいうと…
「これからドローンを利活用したいから航空法の法整備をおこなって、その一環として必要だからドローン免許制度をいれるよー!」
ということです。
大多数のひとによって影響はなく、むしろ新たしいドローン産業に関わっている方にとっては喜ばしい話ではないでしょうか。
ドローン操縦の免許制度の概要は?
まず、2022年導入予定の免許制度について今の段階でわかっている概要を書いていきますね。
そもそも「なぜ、免許制度の話が出てきたのか?」です。
前述したとおりドローンの新しい産業のための法整備に必要だったからです。
免許制度の導入の背景は…
今回の免許制度の導入に、大きな理由に挙げられるのが「ドローン宅配の実現」です。
もう4・5年前から「ドローン宅配を実現すっぞ!」と日本政府(安倍さん)はノリノリだったんですよね。当時から大手企業がこぞって実証実験に取り組んでいました。
私が記憶している限りでは…
- 千葉県千葉市の幕張エリアでの実証実験
- 福島県での郵便局による配送実験
- 離島に生活物資や薬等を配送する実証実験
ここ近年、各企業が「ドローン宅配」を成功させようと、安全性や運行方法などを熟考した上で実証実験を繰り返しています。
まったく人がいない海上、山の上、川の上など影響が出ない場所のみに限って実施しており、最近では、特定の小さなエリアに限って運用ベースに持ってこれたケースもあります。
つまり、離島や山間部・過疎地域で荷物配送の実証実験をおこない成果が出てきたわけです。
そして空の産業革命に向けたロードマップ上では、次の段階に進みたい思惑があります。
首相官邸政策会議「空の産業革命に向けたロードマップ2019」より
しかし、より稼動地域を広げたいけど、今まではの航空法ではドローンの利活用ができないのが大きな壁になっています。
法改正をおこなってドローン宅配をより現実的に
今現在、施行されている航空法では市街地でドローン宅配等をおこなうには難しいです。
- 人口集中地区(人がたくさん住んでいる市街地エリア)
- 目視外飛行(操縦者がドローンを目視できない距離や場所まで飛行)
- 第三者の上空(無関係な人間の上空を飛行する)
これらつ3つは、航空法によって禁止されています。
市街地でのドローン宅配等を実現するためには、上記3点は決して避けて通れません。
そこで検討されているのが「ドローン宅配等ができるように制度化を設けて法改正をしよう」という首相官邸の政策会議です。
2022年の航空法改正で盛り込まれる予定の制度
少子高齢化に突き進んでいく日本では、機械に頼っていくのが賢明です。
先にも上げましたが…
- 都心部での荷物配送
- 高層ビルや陸橋などのインフラ点検
- 高齢化が進む地方市街地での巡回警備
これらを実現するために2022年に向けて航空法の整備をおこないたいという目論見です。
しかし「人口集中地区×目視外飛行」という危険なエリアや飛行方法をおこなうのは大きく安全性に欠けます。
「今までの許可とかの問題じゃないよ。制度だよ、制度を設けないと駄目だよ」
という当たり前の理由から…
- 「使用する機体の信頼性」を厳格にする
- 「操縦する者の技量」を厳格にする
- 「運航管理の方法」を厳格にする
この3つを高レベルまで求める必要が出てきたわけです。もし事故ったら、問題どころではないですからね。さらに得体のしれないドローンや操縦者に、運用ベースに乗ってほしくないですし。
つまり、2番目に記載のある「操縦する者の技量」というのが、「人口集中地区×目視外飛行」を実現するためのドローン免許制度です。
新しい産業(ドローン宅配など)を現実化していくために、必要に迫っているから特定領域に限ってドローン免許制度を導入するのが、2022年導入に持ち上がっている話です。
ドローンによって生活の利便性があがるといった、多くの日本人にとって大きなメリットと言えます。
今回のドローン免許では
- 「人口集中地区×目視外飛行」に限ったドローン免許整備である
- その他の飛行方法については免許は不要である
となっているので、(現時点では)特定領域に限った話だと思ってOKですね。
2022年より先の未来はどうなるのか?
「なんだよ、特定領域に限った話か…」と思う方がいるかもしれません。
しかし、これは第1段階であって、2022年以降、大きく装いが変わる可能性が高いです。
「現状の法制度よりも、さらにルール化が必要」という意見が広がっている
今回の「2022年ドローン操縦に免許制度」というニュースは、2020年3月30日、共同通信が記事にしました。
ドローン操縦に免許制度へ、政府 22年にも、学科と実技試験
政府がドローン操縦の免許制度を2022年にも設ける方針を固めたことが30日、分かった。操縦者の目が届かない距離で、市街地上空を飛ばす場合など危険を伴う利用には取得を必須とする方向だ。一定の年齢制限と有効期限を設け、学科と実技両方の試験を課す。
ドローン活用の環境整備を議論する官民協議会が31日にまとめる報告書に盛り込む。法令違反をした場合の免許取り消しや更新停止なども規定する。危険の少ない飛行には免許を必要としない。
詳細を今後詰めた上で、こうした方針を盛り込んだ航空法改正案を来年の通常国会に提出する。
「ドローンの免許制度」というワードが強いため、注目が集まり、一時ヤフーニュースにも掲載されました。
ヤフーニュースと言えば、コメントです。いろいろな意見を見れるのも利点ですよね。
このニュースに対して、ランキング上位3つのコメントを引用します。
車やバイクの無免許は本人が運転しているが、ドローンは無免許で事故を起こしても犯人特定するのが難しいから罰則を厳しくしないと意味が無い。訪日外国人は注意しても場所を変えて飛ばすから実刑ぐらいの罰則が必要。
DID(市街地区域)と目視外において、免許証が必要になるのなら、基本的には今の飛行条件とそんなにかわりませんね、dips fiss 義務付けされてますから、保険も入らず 身勝手に飛ばす方は、当然 罰則でいいと思います。
まあ免許はいるでしょうね。ドローンを飛ばす人間を、正しい知識、確かな操縦技術を持つものに限定すべき。今は何も知らずに飛ばしている人も多い。DID地区何それ?夜間飛行ダメなの?って人はかなりいるはず。それはそうと、凄いタイミングで発表しますね。
罰則が必要だよね、身勝手に飛ばす人がいるし罰則が必要だよね、ルールも整備しないとね。
そんな感じのコメントが多く、現状の航空法ではドローンを操縦させるのは不十分になってきているという意見が増えてきています。
実際に警察の検挙人数や事故件数は毎年増加しており、社会的な問題になりつつあります。
私自身も「悪質なドローン操縦者がいて困っている」という行政側(市区町村や施設管理など)の声を耳にすることが大変多くなってきました。
今の航空法の制度は時代に沿っていなく、いつかヤバいことが起きると想像に難くないです。
もっと現実的なドローン免許制度が検討されている
実は、より現実的なドローン免許制度は、政策会議で議題に上がっています。
国土交通省航空局「「今後検討が必要となる制度・ルールの洗い出しに関するご意見」より
この資料には、今後検討すべきルールについて記載されており、その中に「操縦者資格制度」があります。
「早期にルール化すべきもの」の項目には、操縦者資格の中で…
- ホビー用
- 事業用
と資格の種類を分類させ、資格制度の検討を行っています。
さらに「継続した検討が必要なもの」項目では…
- リスクカテゴリ毎の操縦者の資格制度
- 国家資格に準ずるレベルの資格制度
を将来的に検討し続けるとされています。
少なくとも、今回話題になったドローン免許制度は、第1段階であって、これをキッカケとして免許制度の幅を広げていくことは間違いありません。
現状では「人々の生活を豊かにしていく」という点で、ドローン宅配の実現に向けた法制度が優先的になっていると思われます。
しかし、無人航空機(ドローン)の運用では、とにかく安全であることが第一となっています。
もし近い将来、人的な被害や事故が起きた場合、ドローン操縦者に関わる免許制度および付随する安全対策制度の整備が優先されると考えられます。
将来、ドローンの免許制度はどのようになるのか、ドローン操縦者の一人ひとり次第ではないでしょうか。
そして免許制度の他にも、ドローン登録制度など、ドローンの周辺が大きく変わっていきます。情報は、常にインプットしていきましょう。
あとがき
ドローンの利活用という視点で見ると、今回のような産業目的はプラスの方向、つまり規制緩和を突き進んでいくため、大変有益な話題だと思います。
しかしホビー目的となると、どうしてもマイナスの方向、つまり規制という制限をかけていくことになります。
この「産業目的」「ホビー目的」の2つの相関関係が、ドローンというひと括りに入ってしまうと、どうも動きづらいような気がしてなりません。
もしかりたら、バランスが取りづらいため、なかなか話が進んでいかないのかもしれないかもしれませんね…。
「ドローンは安全であるべきもの」を主体においたとしたら、もっとバッサリと行ってしまえばいいのにと。