空港付近でのドローン飛行はどうなる?飛行制限と飛行禁止ゾーンの仕組みについて。

空港付近でのドローン飛行はどうなる?飛行制限と飛行禁止ゾーンの仕組みについて。

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

DJI製品に限っての話ですが、政府機関や空港などの付近では、システム側で完全制御されています。

例えば、空港の近くでは「離陸しない」「高度が上がらない」「自動着陸する」など通常飛行に至らない仕組みです。

映像制作の場で「訳があって、空港付近で撮影したい」という場合があると思います。

今回、特別な許可を得た上で、空港の真横でドローン撮影をおこないました。せっかくですので、空港付近でドローンを飛行させるとどうなるのか?を説明します。

※通常の場合、空港付近でドローンを飛行させることは危険ですのでお止めください

システム側の飛行禁止ゾーンの確認方法と制限区域について

DJIのドローンおよびコントロールするアプリには、システム側で飛行制限や飛行禁止ゾーンが設定されています。

具体的に制限の掛かるのは、多くの場合に「空港」です。

ちなみに、ここでの話は航空法等の法律関係の話は一切含まれておりません。当然ながら航空法によっても(目に見えない)規制が存在し、場合によっては違反行為に当たります。

ドローンと空港付近
ドローンは空を飛ぶため、他の航空機への影響が出ます。 その代表的なのが航空機。 空港付近では航空機が行き交い、低高度で飛行している場合もあります。航空機と衝突した場合に

飛行禁止ゾーンの確認方法

DJIで設定されている飛行禁止ゾーンは、以下のURLにて確認が可能です。

dji_no_fly

DJIフライングエリア制限より

空港の制限エリアについては、青色の円形で表示されています。

そして、さらにDJI側で飛行禁止ゾーンとして設定されているのが、グレーの円形です。

dji_go_nofly

羽田空港をアップしてみると、赤色の人口集中地区のほかに、羽田空港を中心としたグレーの円形が出ています。

このグレー色の場所が飛行禁止ゾーンになります。

飛行制限ゾーンの制限区域

飛行制限ゾーンの中には、「離陸制限」と「飛行高度制限」の2つに分かれています

空港に近ければ近いほど「離陸制限=離陸ができない」になり、少し離れると「飛行高度制限=離陸はできるが高度に制限」となるわけです。

dji_no_fly_airportDJI ユーザーズマニュアルより

どこからどこまでが離陸制限なのか、飛行高度制限なのかは、空港の規模や形状によって異なるようです。

ただし飛行高度制限ゾーンは外周から1マイル(1.6km)しか範囲がないため、実際にはほとんどのエリアが離陸制限がかかると思います。

基本的には、青色のエリア内ではドローンが飛行できないエリアだと考えるほうがスムーズです。

空港付近の飛行禁止ゾーン・飛行高度制限ゾーンでの挙動は

2つのゾーンがあると説明しましたが、それぞれドローンがどのような動き方になるのか、どこまでできるのかです。

空港から近い距離の「飛行禁止ゾーン」について

結論から言うと、このエリアに入っているとドローンは離陸できません。

どんなに飛行モードを変えたとしても、ドローン自体がGPSによって位置を把握して「飛行禁止ゾーンにいるため、離陸禁止です」とエラー表示が出てきます。

つまり、ドローンは飛べないのです。

空港から少し離れた「飛行高度制限ゾーン」について

離陸はできますが、DJIが設定している安全高度までなら飛行可能です。

そして飛行場所によって、飛行高度は20m~500mのいずれかまでに制限がかかります

徹底的に、空港付近エリアで飛行できないシステム

DJIの製品では、空港付近で徹底的に飛行制限を加えています

この精度の高さは半端ではありません。

そもそもドローンは飛行物体。飛行機やヘリコプターからしてみれば厄介者です。もし仮に、ドローンが空港内に侵入したとしたら、管制塔より飛行機の着陸はすべて止まり大問題になります。

場合によっては、損害賠償レベルですね。

そうならないように、DJIは自主的な規制を張って、DJIのドローンがトラブルを生まないようにしているわけです。

例えば、空港の飛行制限がかからないエリアから制限区域に入った場合には、自動的にその場で着陸体制に入るのも逸品です。

もし空港の飛行制限エリアに近い場所で誤って飛行させて、ふらっと空港に近づいたとしても、自動着陸が作動するのですから事故は起こりづらいと言えます。

このDJIというメーカーでの自主規制は、技術の賜物ですし、やり方によっては空港や重要機関以外にも、もっと規制範囲を広げられると考えられます。

しかし、法律および自治体の許可を得た上でのドローンを利用した撮影と考えると、逆に厳しい環境になるといえます。

空港の真隣でのドローン飛行をおこなったら?

冒頭でも記載しましたが、依頼を受けて空港の真横でドローン撮影をおこないました。

通常なら空港側から許可はでないのですが、いろんな方の交渉により特別に飛行が許された事案です。わずか20m先が空港の敷地なので、非常に稀といえますね。

前述の通り、空港の真隣は「飛行禁止ゾーン」であり、システム側で制御がされており離陸できない場所、つまりドローンは空を飛べません。

※何度も言いますが、一般の方は空港近くで飛行させないでくださいね。ヤフーニュースで実名で掲載されますよ。

GPSをつかむ前に離陸

ドローンはGPSをキャッチして飛行中も制御をおこなっています。

そのGPSを捕まえる前に離陸をすれば、一旦の離陸は可能になります。つまり、ドローン自体が「今どこにいるのか分からない」という状態で飛行させるということですね。

時間が経てば裏側で動いているGPSがキャッチして、「飛行制限エリア」という警告メッセージが出続けます

エラー

もちろん、飛行中はエラーが出っぱなしです。

自動着陸をコントロール

離陸した後に、GPSをキャッチすると「飛行制限エリア」として自動着陸がスタートします。

コントローラで何もしなければ、その場にどんどんと下降していき、そのまま着陸します。

この間は、コントローラのスティックでドローンを操作でき、上昇・左右など動かせます。

しかし自動下降がかかっている状態なので、常に下降していくチカラ(1秒に付き、1mくらいの下降)がかかっており平行移動は困難です。

短距離的な平行移動は可能ですが、長い距離の平行移動は高度維持をするのに調整が必要です。映像的には滑らかな動きは作りにくく、通常の場所とは全く異なった環境であることの了承をいただく必要があります

また高度に関しても、(航空法や管制塔の指示等ありますが)システム側でも高度制限が働くため、場所によっては低高度になり得る場合があります。

リスクが存在する空港付近のドローン飛行

通常ではおこなう必要がない、空港付近のドローン飛行。

もし誤って制限区域に入り込んだとしても、自動着陸が作動してそのままどこかに着陸 or そのまま海に着陸するなど、空港を最優先としたシステムが作動します。

事故を未然に防ぐ、最良のシステムですね。

やむなく飛行させる際には、経験豊富でパニックにならずにコントロールできる技量を持ち合わせないと、紛失・接触事故など大きなリスクを負うことになります。

さらに法律関連や空港等の許可や電波干渉などの大きなハードルも忘れてはなりません。

普通ではない環境という認識は必要ですね。

あとがき

「自動コントロール機能がついているから、空港は気にせずに飛行してみよう」とNGですね。

もし空港にドローンが飛び込んだから、迷惑するのは旅客機、その乗客、空港関係者など数え切れない人の迷惑を被ります。きっと損害賠償額も、尋常ではないレベルですね。

安易に考えて空港付近ではドローンを飛行しないよう、肝に銘じたいですね。

Profile

#