違反性の高いドローン飛行、映像・動画が証拠になり捕まる可能性あり。

違反性の高いドローン飛行、映像・動画が証拠になり捕まる可能性あり。

こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。

最近はドローンを利用した映像が多くなってきました。

テレビ・ドラマなど、そしてyoutubeによる動画投稿…。ここ数ヶ月で一気に増加したような気がします。しかし、問題点もいくつか。

航空法改正後でも、違反性の高いドローンの映像も比例するように目立ってきました。

その映像が証拠となって後日捕まる可能性があるのか!?

専門家に聞きつつ紐解いていったところ「捕まる可能性あり」と言えます。

違反性の高いドローン映像(許可が有ったとしても)

あまりyoutubeは見ないようにしているのですが、ふと資料作成で眺めていたら、「これ、やりすぎじゃない!?」と思うドローン映像がいくつか…

具体的には・・・

1. 明らかに目視できない距離を飛行し続ける目視外飛行

たしか河川を登っていく船舶のドローン映像です。

船舶を追っかけていって、その船舶を大きく回り込んで撮影。離発着地から500mは離れている距離ですね。明らかに目視外の映像です。

立ち位置やスタート地点を考えると、限りなくOUTなドローン映像。(無関係な船舶にも大迷惑)

プロフィールや投稿動画を見ると、つい数週間前に購入したばかりで、国土交通省の許可云々は全くなさそうなユーザーです。

2. 山頂めがけて突き進んでいく目視外飛行

どこかの山の中腹から離発着させて、どんどんと山頂をめがけて進んでいくのですが、人間が見える距離(200mくらい)を越えたドローン映像

趣味で飛行させているようなユーザーで、同様に国土交通省の許可はなさそうな飛行です。

3. ビジネスで撮影されているドローン飛行(夜間・目視外)

今回、このブログエントリーのきっかけになったドローン映像です。

大手企業のPR映像なのですが、これがどう考えてもNGと思われるドローン飛行。

第三者や交通量の激しい場所の真隣で夜間飛行。しかも高度を150mまで上げており、高速道路に走るクルマとドローンが並走。

一部の映像は海の上なので安全かもしれませんが、都会のど真ん中でも同様のドローン飛行をしていました。

「この映像、キレイ!」とは一切思わず、「この依頼した企業、大丈夫かな…」と心配になっちゃったくらいです。

※国土交通省の許可関連の話は後述します

たとえ国土交通省の許可承認があっても飛行制限はある

これは対クライアント向けの話になってしまいますが、航空法で規制されているドローン飛行を「特定の条件のみで」許可承認を受けているのが許可書です。

特定の条件というのがミソで、人口集中地区や夜間飛行などは、特定の飛行マニュアルに則った場合にだけ、ドローンの飛行が許可されているわけです。

つまり、飛行マニュアルから逸脱したドローン飛行は、許可されていないドローン飛行となります。(=違反行為)

これは国土交通省の許可承認書にも記載があるので、間違いない話です。

違反飛行の証拠映像は、どう立件されるのか?

ここからが本題です。

ドローンの1つの役目である空撮。映像としてビシっと証拠になるものですね。

この証拠映像から違反と判断されて刑事事件として扱われるのでしょうか?公的機関で法律家に聞いてみると…

警察が犯罪の嫌疑を持つきっかけは複数のケースから

  • 一般的には、被害者や第三者からの通報が多い
  • youtubeを見た人が通報するケースも多々あり
  • ネット上で話題になれば警察の目にも触れて直接嫌疑を持つケースもあり

犯罪の重要性によって投稿者を辿って処罰に至る

  • 警察が犯罪の嫌疑を持てば捜査が始まり、聞き込みや警察署での任意の取調べ等が行われる
  • どこまで熱心に捜査するかは、犯罪の嫌疑の強さ、犯罪の重大性、犯罪の悪質性、証拠収集の見込み、などから決まる
  • いつでも誰でも見れるyoutubeなどの動画サイトへの違反性の高い投稿は、犯罪を助長するものであり、挑発的に映る場合がある。通報によって悪質と判断されれば警察が見逃すようなことはない。

警察が全く動かないとは断言できなく、処罰に至る可能性も否定できない。※ドローン(航空法)に限らず、すべての犯罪に通して言えることである

ドローンの違反飛行は通報によって(悪質な場合)書類送検される

前述の話をまとめると悪質な場合は、警察が動く可能性があるということです。

ドローン自体は、まだ法整備が整ったばかりなので、警察側での何が悪質なのかの判断基準も整っておらず、把握力も少ないと思われます。

一般人から通報が、警察が動くキッカケになる場合が現段階では多そうです。(Youtubeでスーパーの商品に爪楊枝を入れていた未成年が逃走、警察が追って捕まえる事件もありましたね)

しかし、一度「悪質」と判断された場合には、法律に則って書類送検まで警察も動くと思われます。

警察のドローンへの関与も時間の問題?

映像が証拠となって「警察が動いた」という話はまだ上がっていません。

しかし、これから関与していくのでは?と予測できます。

つい数年前までは、ネット上で「◯◯さん、しね」などネット上に書き込んだとしても、なんともない時代でした。

今はどうでしょうか? 匿名で安易に書き込んだとしても、殺害予告として数日以内に逮捕される時代です。(ニュースで話題になりますよね)

警察の関心度がどれだけ高くなるか、どれだけドローンによる事件や事故が増えるかによって、ドローンも同じような道をたどるかもしれません。

まず先に「悪質な操縦者」が標的になると思われますが…。

国土交通省は許可承認するだけで違反性は関与しない

前述の「150m上空に上がった夜間、しかも人・クルマが無作為にいる中での、大手企業のドローン飛行」の話です。

物凄く好奇心が掻き立てられて「こんな飛行を許可してくれるのか?」「許可してくれるのなら、映像の幅も広がるなぁ」と気になったんですよね。

そこで国土交通省の航空安全課に質問。

「この映像のようなドローン飛行も、許可が降りるのですか?」

その回答は…「個別に審査をしている。案件の飛行内容によります。申請時に相談してください」とのこと。

つまり、後日おこった飛行内容については関与していない感じ。あくまで立ち位置としては、個別に審査のもと「飛行の許可・承認をする」だけのようです。

それが許可承認をした通りの飛行内容なのか、それが逸脱した違反飛行なのかはノータッチと言えます。捜査する権限・逮捕する権限はないのが理由ですね。

違反かどうかの権限は警察が持っています。警察から国土交通省に支持があった場合に、該当の許可承認や飛行マニュアルを共有するという流れが想像できます。

海外でのドローン違反飛行動画からの割り出し

youtubeにアップした動画から、「違反」として扱われて逮捕に至りそうな事件が起きています。

オーストラリアでのドローン飛行なのですが、「自宅からスーマーマーケットで、ソーセージを購入してドローンで運んでいく」という動画。

この動画が証拠になって、民間航空安全局が激怒して9000AUD(日本円で約73万円)の罰金の運びになるよう。

VIC州メルボルンの北西サンベリー地区で自宅からドローンを飛ばし、近所のバニングズでソーセージ・シズルを買い、それを屋外スパで待っていた友人に渡すというちょっとしたいたずら心の遊びのつもりが、民間航空安全局(CASA)を怒らせ、$9000の罰金を言い渡されるかも知れないという酔いも醒める結果になった。

エージ紙(電子版)が伝えた。

遊びでドローンで買い物をした上に、ビデオをユーチューブに載せたことから事件が当局の知るところとなったが、グループの1人、自称ティム君は、「ほんの遊びのつもりだった」と語っている。

ビデオの方はすでにユーチューブから削除されているが、CASAのピーター・ギブソン報道担当官によると、グループの行為はいくつかのドローン規制に違反しており、罰金最高額は$9000になるとのこと。

規則によれば、ドローンを人のいるところから30m以内で使うことが禁止されており、またドローンが操縦者の視界からはずれることも禁止されている。さらに、大勢の人のいるところで飛ばすことも禁じられている。

NICHIGO PRESSより引用

簡単に要約すると、こんな流れです。

  1. ドローンでソーセージの買い物をした
  2. youtubeにアップした
  3. 「人の多い場所」「人・物から30m以内」「目視外」でのドローン飛行は禁止
  4. ドローン規制に違反しており、罰金を課せられる運びに

海外でも同様の問題を抱えており、オーストラリアでは激怒して処罰に向かうようです。まぁあ、違反行為をyoutubeで公開しているので、悪質と言えば悪質と言えそうです

実際に動画は?

悪ふざけの楽しげな動画に見えますが(日本にもよくありそうですが)、完全OUTの判定になりました。

youtubeにアップして罰金刑にならないためには

違反飛行をしないこと

日本にも航空法という法律が敷かれています。

ドローンでの違反飛行をおこなうのは完全OUTなので、ルールを理解して、ルールを守ることです。

今までは現行犯で書類送検など警察の御用になった事件は多々ありますが、今後は航空法を違反した映像として残るものも対象になってくるはずです。(ネット社会なので当然の流れですね)

また前述の通り、許可承認書を取得したとしても、自由にドローンを飛行できるわけではありません。逸脱した飛行をすれば、違反飛行です。

もし企業として撮影依頼していた場合、その損害も大きくなるのは想像できます。

許可を取得していたら許可番号を記載すること

通報されないように、許可書に記載のある番号を掲載すると、より信憑性が高まります。

不安な人は、youtubeの説明欄に「平成◯年度/国空航第◯号 国空機第◯号により許可承認済み」と記載しておくといいかもしれませんね。

あとがき

ブログのエントリーのきっかけになった「大手企業のドローン飛行映像」、今後どうなるのか気になります。

もし超特別な安全対策を経た上で、国土交通省よりドローン飛行の許可承認を得ていたのなら、いらぬ心配なのですが。

しかし、依頼された操縦者がガンガン違反飛行させてしまい、せっかく大金をかけて映像制作したとしても「動画削除」や「書類送検」に至るのは残念すぎです・・・。

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