こんにちは、株式会社ドローンエンタープライズ 代表の早川(@hayakawa_drone)です。
2022年12月からスタートしたドローンの国家資格。
一定の学科テスト、実技テスト、身体検査をクリアすると「無人航空機操縦士(一等・二等)」の国家資格を取得できます。
すでに8000人を超えるひとがドローンの国家資格を持っていると言われていますが、疑問になるのが「この国家資格がビジネスで武器になるのか?」ということ。
今回は3つのカテゴリに分けて陥りやすい大きな勘違いについて深堀りしていきます。
このページに書いてあること
「ドローンの国家資格を持っています」だけではビジネスで武器にならない
最初に結論です。
ドローンを始めたひとが練習を重ねて、ドローンの国家資格を取得したとします。
そこで「私はドローンの国家資格を持っています!」と声を高らかにしたとしても、正直なところビジネス上では誰にも見向きもされません。
ドローンの国家資格を持っていたとしても、その知識や技術は、ビジネス上では当然あるべきベースだけであって、求められるのは「業務飛行経験」「業務実績」です。
どの業界でも当たり前なのですが、税理士資格を取ったとしても実務未経験だとしたら依頼者からの信用はゼロです。
逆にドローン国家資格を取得することで1つも2つも強みにできるひともいます。
国家資格だけでは武器にならず、経験や実績が携わっているひとが持つことでようやく武器になる。誰が持つかによって有益度が変わるのです。
大きく分けて3つのカテゴリに分けられますので説明していきます。
ドローン国家資格を武器にできるひと、できないひと
初心者からドローン国家資格を取得したひと
「私は国家資格を取得しています!」
「国家資格を取得したひとが◯名いますので!」
この言葉をメインアピールにしている方がいらっしゃって、もしビジネス上で最大の武器だと思って仕事ができると考えていたら、それは勘違いしてしまっているかもしれません。
「ドローンの国家資格を持っています」だけでは、ビジネスでは武器になりません。
国家資格を取得する過程で得た「知識」「技術」は確かに重要です。ただし、これらはビジネス上でおこなうベース(=最低限)であって、求められるのは専門的な業務経験や業務知識です。
何度も書きますが、国家資格は武器になっていません。それだけでは仕事も来ません。
顧客目線でいうと「で、あなたは何ができるの?」と思われるからです。
業務経験・知識があってドローン国家資格を取得したひと
これまでドローンの業務経験や業務知識を得ているひとではどうでしょうか?
そもそもですがドローン国家資格も取得しなくても特殊な飛行業務ではない限り、取得不要です。今まで通りに業務を行えます。
しかし私を含めて、一部のドローン事業者はドローン国家資格を取得しています。
その理由は「箔が付くから」です。
国家資格を持っていても持っていなくても、どっちでも変わりはしませんが「いちおう、ドローン国家資格を持っています」というだけで信用度が高まります。
専門的な業務知識+国家資格。
この図式になることで、多少なりとも好印象を持ってもらいやすいです。
ドローン国家資格は武器にはしていませんが、さらに信用を高めるという点で武器になりやすいです。
特殊な飛行業務が必要なケースでドローン国家資格を取得したひと
ドローン国家資格を取得していないと、ごく一部ですが飛行できないケースがあります。
それはドローン物流です。
ドローン国家資格は、もともとはドローン物流をおこなうにあたって、DID+目視外飛行+第三者の上空といった禁止事項をクリアにすべく設計された資格です。
今現在、実証実験などおこなわれていますが、
- 人物:無人航空機操縦士(1等)
- ドローン:第1種型式認証
の組み合わせのみ、国交省航空局の飛行申請を経て飛行が可能になっています。
つまり、ドローン物流でDID+第三者の上空を飛行する特殊な飛行業務を担当するひとは、ドローン国家資格は最大の武器になります。
その国家資格を持っていないと飛行できないのですから、ある意味、専売特許ですね。
ドローンの国家資格は、誰が手にするかによって有益度が異なる
ドローン国家資格を単体で持っていても、大抵の場合は意味をなさなく、ビジネス上の武器にもなりません。
あくまで「ドローンが操縦できる」を形に表しているものです。
ビジネス業務の経験がないひとがドヤったとしても、顧客から求められているのは「業務経験」「業務知識」です。
例えば空撮の現場では、
- カメラワークや画作り
- 業界特有の用語
- カメラ設定
- 障害物が溢れる現場
- ディレクターや監督とのコミュニケーション
など、多岐にわたる経験や知識が必要になってきます。
「ドローンの国家資格を持っています!」だけではこれらをクリアできません。もし現場に入ったら大混乱になりますし、多大な迷惑をかけます。
あくまでドローン国家資格は、すでに持っている経験に+αするだけであって、ドローン国家資格を取得してすべての人に武器になるわけではありません。
誰が手にするかによってドローンの国家資格が生きてくる。
国家資格をどう活用するか、そもそも何を求められているのか、それを勘違いしないようにしないと資格コレクターになっちゃうので気をつけないとです。
あとがき
私もドローン国家資格を持っていますが、もはやただのカードであって、実際のところ権威性もないし、強い独占業務性もないです。
「国家資格を持っていますか?」と聞かれて、「YES」と答えるツールです。